税理士・行政書士・社労士にホームページは必要?広告規制の範囲で信頼を伝える作り方
「顧問先は紹介ばかりだから、ホームページは無くても困らない」——結論、紹介経由の依頼が中心の士業事務所でも、問い合わせ前に事務所名で検索されるのが今の実態です。税理士・行政書士・社労士など士業のホームページに必要な理由と、業務広告の規制を守りながら信頼を伝えるページ構成、よくある失敗パターンを整理します。
執筆: おもてらいと編集部(ホームページ運用チーム)
「うちは顧問先からの紹介で仕事が回っているから、ホームページは無くても特に困っていない」——税理士・行政書士・社労士などの士業事務所の方から、実はよく聞く声です。新規開拓の営業をしているわけでもなく、既存の顧問先や取引先からの紹介で新しい依頼が来る。だとしたら、ホームページを整える手間や費用をかける意味はどこにあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、紹介経由の依頼が中心の事務所であっても、ホームページが「紹介の裏付け」として機能する場面は想像以上に多くあります。紹介を受けた側の担当者や経営者は、契約前に一度は事務所名や所長の名前で検索します。ここでホームページが見つからない、あるいは何年も更新されていない情報が残ったままだと、せっかくの紹介者の信用まで疑わせてしまいかねません。ただし士業のホームページには、一般の店舗とは違う注意点が1つあります。各士業会が定める広告規制で、書いてよい表現と書いてはいけない表現がはっきり分かれているのです。この点は後半で詳しく説明します。本記事では、税理士・行政書士・社労士などの士業事務所にホームページが必要な理由と、その広告規制を守りながら信頼を伝えるページ構成、公開後によくある失敗パターンを、専門用語をできるだけ使わずに整理します。
先に、要点をまとめます。
- 紹介経由の依頼が中心でも、契約前の「検索での裏付け確認」に対応する役割がある
- 最低限そろえるページは、事務所紹介・取扱分野・所長やスタッフの紹介・アクセス・問い合わせ導線の5つ
- 各士業会の広告規制で「誇大広告」「比較広告」「成果の保証」は禁止されているため、事実に基づく書き方を徹底する
- 費用は月額数千円台のSaaSから始められ、事務所の規模に応じて段階的に拡張できる
士業事務所にホームページは本当に必要?
はい、紹介中心の営業スタイルであっても、契約前の信用確認という役割を代替できる手段が他にないため必要です。 理由は大きく3つあります。
理由1:紹介を受けた側は、契約前に必ず一度は検索する
知人や取引先から「良い税理士さんがいるよ」と紹介された場合でも、実際に問い合わせる前に事務所名や所長の名前をインターネットで検索し、取扱分野や事務所の雰囲気を確認する人がほとんどです。ここでホームページが存在しない、または名刺代わりの1ページだけで情報が薄いと、「本当に紹介に足る事務所なのか」という不安を解消できないまま、問い合わせを見送られてしまう可能性があります。
理由2:士業ポータルサイトだけでは、事務所の考え方までは伝わらない
税理士や行政書士を探せるポータルサイト・比較サイトは数多く存在しますが、掲載できる情報は定型フォーマットに沿った簡潔なものが中心です。「なぜこの分野に力を入れているのか」「どんな相談の仕方をする事務所なのか」といった、依頼者が本当に知りたい事務所の考え方や姿勢までは、ポータルサイトの限られた項目では伝えきれません。
理由3:世代交代・スタッフ増員のタイミングで、情報の更新が信用に直結する
士業事務所は、所長の代替わりやスタッフの増員・独立のタイミングで体制が変わることが珍しくありません。名刺やポータルサイトの情報だけを頼りに問い合わせた依頼者が、実際に訪問して初めて体制の変化を知る、というのは避けたい事態です。ホームページで最新の体制を発信していれば、こうした認識のズレを防げます。
御社の場合、紹介経由の依頼だけで案件数が満たされているとしても、その紹介の「最後の一押し」を後押しする土台があるかどうかで、成約率は変わってきます。次の章で、士業事務所のホームページに最低限必要なページを整理します。
士業事務所のホームページに最低限必要なページは?
事務所紹介・取扱分野・所長やスタッフの紹介・アクセス・問い合わせ導線の5つが最低限そろえたい構成です。 それぞれ、何を書けばよいかを具体的に見ていきます。
1. 事務所紹介ページ:何を大切にしている事務所かを1〜2文で
「〇〇市で相続税申告と法人の月次顧問を中心に、対応の速さを大切にしている税理士事務所です」のように、地域・力を入れている分野・姿勢が伝わる書き出しにします。設立年や所属団体名を並べるだけでなく、「なぜその分野に力を入れているか」の一言があると、事務所の人柄が伝わりやすくなります。
2. 取扱分野ページ:濃淡をつけて、得意分野が伝わるように
取扱分野を一覧で示しつつ、特に力を入れている2〜3分野は個別のページで詳しく解説します。「相続・事業承継」「法人の月次顧問」のように分野ごとにページを分けると、検索エンジン経由で「相続税 税理士 〇〇市」のように具体的な悩みで検索した人にも見つけてもらいやすくなります。
3. 所長・スタッフ紹介ページ:経歴と対応可能な分野を事実ベースで
所長の経歴(資格取得年、前職、得意分野)を、誇張せずに事実として記載します。複数名体制の事務所では、スタッフそれぞれの担当分野も明記すると、問い合わせ時に「誰に相談すればよいか」が伝わりやすくなります。写真の掲載は必須ではありませんが、顔が見えることは依頼前の安心材料になります。
4. アクセスページ:訪問前の不安を解消する情報を
住所・最寄り駅からの道順・駐車場の有無・面談の予約方法を、地図とあわせて掲載します。オンライン面談に対応している場合は、その旨も明記しておくと、遠方の依頼者からの問い合わせを取りこぼしません。
5. 問い合わせ導線:相談内容を事前に整理してもらう工夫を
士業事務所のホームページで重要なのが、この問い合わせ導線です。次の章で詳しく解説します。
士業事務所の問い合わせフォームには何を入れる?
「相談したい分野」を選択式にしておくと、初回のやり取りがスムーズになります。 士業への問い合わせは、依頼者自身が「何を相談すればよいか」を正確に言語化できていないケースが多いため、フォームの設計次第で最初のやり取りの質が変わります。
具体的には、次のような項目を用意しておくと実務的です。
項目1:相談したい分野の選択肢
「相続・事業承継」「創業・法人設立」「月次顧問」「就業規則の見直し」のように、取扱分野をチェックボックスや選択式で用意します。自由記述欄だけだと、依頼者が何を書けばよいか迷い、フォームの入力を途中で諦めてしまうことがあります。
項目2:現在の状況を選ぶ項目
「個人事業主」「法人(従業員〇名程度)」のように、依頼者の状況を簡潔に把握できる項目を入れておくと、初回の返信で的確な案内がしやすくなります。
項目3:面談方法の希望
「事務所への来訪」「オンライン面談」「電話でのやり取り」のように、依頼者が希望する対応方法を選べるようにしておくと、面談日程の調整がスムーズになります。
項目4:連絡可能な時間帯
日中に連絡が取りにくい依頼者も多いため、「連絡可能な時間帯」を選択式で聞いておくと、折り返しの電話がつながらないという行き違いを防げます。
これらの項目を選択式にしておけば、依頼者の入力の手間を減らしながら、事務所側も初回の返信内容を事前に準備できます。問い合わせフォームの返信速度そのものが依頼の決め手になりやすいことは、問い合わせへの返信が遅いと機会損失に?でも詳しく解説しています。
士業のホームページで気をつけたい広告規制とは?
冒頭で触れた、士業ならではの注意点がこれです。弁護士・税理士・行政書士・社労士など各士業会の広告規制では「事実に合致しない広告」「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」「他の事務所との比較広告」が共通して禁止されています。 ホームページも広告媒体の一つとして、この規制の対象になります。
具体的に避けるべき表現は、次のようなものです。
避けるべき表現1:成果を保証・断定する表現
「相続税申告で必ず節税できます」「勝訴率100%」のような、依頼者に過度な期待を抱かせる断定表現は禁止されています。実際の対応実績を伝えたい場合も、「〇〇の分野に注力しています」「〇〇件の相談実績があります(実数のみ)」のように、事実の範囲にとどめます。
避けるべき表現2:他の事務所との比較表現
「業界No.1」「地域で一番選ばれている事務所」のような、裏付けのない比較優位を示す表現は各士業会の広告規制で禁止されています。第三者機関の公式な調査結果に基づく場合を除き、比較表現は使わない方針が安全です。
避けるべき表現3:実態と異なる情報の記載
在籍していないスタッフを紹介ページに残す、対応していない分野を「対応可能」と記載するなど、事実と異なる情報も規制の対象です。取扱分野やスタッフ体制は、変更があった際にホームページ側も速やかに更新する運用が欠かせません。
これらの規制は「情報を出すこと自体」を禁じるものではなく、事実に基づかない誇張・比較・保証を禁じるものです。取扱分野・経験・所属団体などの事実情報を、誠実に、具体的に伝えることは規制の範囲内で十分に可能です。迷った場合は、所属する士業会が公表している広告に関する規程・運用指針を一度確認しておくと安心です。
士業事務所ホームページのよくある失敗パターンは?
「開業時に作ったまま更新が止まり、体制や取扱分野の情報が古くなる」のが最も多い失敗です。 具体的には、次のようなケースがよく見られます。
失敗1:独立・退職したスタッフの紹介ページがそのまま残っている
スタッフの紹介ページを更新せず、既に事務所を離れた人の情報が残ったままになっているケースです。訪問した依頼者が「紹介ページの人がいない」と気づくと、事務所全体の管理体制への不安につながります。
失敗2:取扱分野を増やしたのに、ホームページの記載が開業当初のまま
新しく相続業務や労務相談に対応を広げたにもかかわらず、ホームページの取扱分野ページが開業時の内容のまま更新されていないケースです。せっかく広げた対応範囲が、検索経由の問い合わせに反映されません。
失敗3:問い合わせフォームの項目が曖昧で、初回のやり取りに時間がかかる
自由記述欄だけのシンプルなフォームにしていると、依頼者が何を書けばよいか迷い、送信された内容だけでは相談内容が把握できず、電話で改めてヒアリングし直すことになるケースです。前章で紹介した選択式の項目を用意しておくと、この手間を減らせます。
失敗4:ホームページを作ったこと自体を顧問先に知らせていない
せっかく公開したのに、既存の顧問先や取引先に案内していないケースもよく見られます。既存の顧問先経由の紹介を増やすためにも、ホームページを公開したら一言案内しておくと、紹介する側も安心して勧めやすくなります。開設報告の書き方は「ホームページを開設しました」のお知らせ、何を書く?にまとめています。
失敗5:料金の目安が一切なく、問い合わせのハードルが高いまま
顧問料や単発業務の料金を一切載せず、「お問い合わせください」とだけ書いてあるケースです。案件ごとに幅がある業務でも、「月額〇〇円〜」という下限だけは示しておくと、依頼者が問い合わせる前の心理的なハードルを下げられます。
これらの失敗に共通するのは、「開業時・作成時には正しかった情報が、体制の変化とともにズレていく」という点です。取扱分野やスタッフ体制に変更があったタイミングで、ホームページも同時に見直す運用を決めておくと、こうした失敗の多くは未然に防げます。
士業事務所ホームページの費用相場は?
月額数千円台のSaaSであれば、初期費用をほとんどかけずに公開できます。 士業専門の制作会社に依頼すると、初期費用として30万円〜80万円程度、加えて月々の保守費用がかかるのが一般的な相場です。事務所の権威性を強く打ち出したブランディング重視のサイトを作りたい場合には有力な選択肢ですが、まず取扱分野と事務所紹介を整えて公開したいという段階では、費用が過大になりがちです。
一方、ホームページ作成SaaSであれば、無料プランから始められ、独自ドメインを使いたくなった段階で月額数千円台のプランに切り替えるという、段階的な進め方ができます。おもてらいとの場合、Freeプランは無料(omote-light.com のサブドメインでの公開、Powered by表記あり)、独自ドメインで運用したい場合はStandardプラン(月額4,800円・税込)が目安です。事務所紹介・取扱分野・スタッフ紹介といった必要なページは、テンプレートに沿って情報を入力していく形式のため、デザインの知識がなくても整った見た目で公開できます。費用の比較の考え方をより詳しく知りたい方は、ホームページ制作の費用相場は?で5年間の総額比較を解説しています。
予算の考え方としては、次のような段階分けが現実的です。まず開業したばかりの個人事務所の場合は、初期費用をかけず無料プランから始め、顧問先が増えてから独自ドメインへ切り替える進め方が向いています。複数名体制で取扱分野が多い事務所の場合は、取扱分野ごとのページ作成やコラム投稿が無制限になるStandardプラン以上を最初から選び、情報量の多さに対応できる構成にしておくと、後からの作り直しの手間を防げます。すでに開業時に作ったホームページが古くなっている場合は、いきなり作り直すのではなく、まず取扱分野とスタッフ情報だけでも最新化し、並行して新しいホームページの準備を進めるという段階的な移行も選択肢です。
士業事務所ホームページを作る4つのステップ
具体的な進め方を、4つのステップで整理します。
ステップ1:載せる情報を洗い出す(所要目安:1〜2時間)
事務所紹介文・取扱分野・所長やスタッフの経歴・アクセス情報・営業時間を、Wordやメモアプリでよいので一度書き出します。この段階で、各士業会の広告規制に照らして「誇張になっていないか」も併せてチェックしておくと、後の作業がスムーズになります。
ステップ2:取扱分野の優先順位を決める(所要目安:1時間程度)
取扱分野が多い事務所ほど、この整理が重要です。特に力を入れている2〜3分野を決め、個別ページで詳しく書く分野と、一覧でまとめる分野を分けます。
ステップ3:テンプレートを選んで情報を入力する(所要目安:2〜4時間)
士業事務所らしい、落ち着いた雰囲気のテンプレートを選び、洗い出した情報を入力していきます。SaaSを使う場合、フォームに沿って入力するだけで、デザインの調整はほぼ不要です。テンプレートの選び方はテンプレート選びで失敗しないための考え方で解説しています。
ステップ4:問い合わせフォームの項目を確認し、公開する(所要目安:30分〜1時間)
前章で紹介した「相談したい分野」「現在の状況」などの選択項目が正しく設定されているかを確認してから公開します。公開前にはホームページ公開前チェックリスト15項目で、他に見落としがないかも確認しておくと安心です。
合計すると、情報がすでに整理されていれば、半日〜1日程度で最初の公開までたどり着けます。
まずは今日、取扱分野を紙に書き出し、特に力を入れている2〜3分野に丸をつけてみることから始めてみてください。書き出してみると、「実は所長の経歴ページがない」「独立したスタッフの紹介がまだ残っている」といった、公開前に整えておきたい点が具体的に見えてきます。
よくある質問
Q. 顧問先の紹介で仕事が回っているので、ホームページは不要ですか?
紹介経由の依頼が中心でも、紹介を受けた側は契約前に事務所名や担当者名で検索するのが一般的です。ここでホームページが見つからない、あるいは情報が古いままだと、紹介者の信用まで疑わせてしまいます。ホームページは新規集客だけでなく、紹介を受けた話を裏付ける役割も担います。
Q. 士業のホームページには広告規制があると聞きました。何を書いてはいけませんか?
各士業会の広告規制では「事実に合致しない広告」「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」「他の事務所との比較広告」が共通して禁止されています。具体的には「勝訴率100%」のような成果の保証、「業界No.1」のような裏付けのない比較表現、実際にいない在籍人数の記載などが該当します。取扱分野や経験年数など事実に基づく情報を、誇張せずに書くことが基本です。
Q. 事務所のホームページに料金を載せるべきですか?
顧問料や単発業務の料金目安を載せる事務所は増えています。金額を明示すると問い合わせのハードルが下がる一方、案件ごとに幅がある業務では「〇〇円〜」という下限だけを示し、詳細は個別見積もりとする書き方が実務的です。
Q. 所長以外のスタッフの顔写真も載せた方がいいですか?
必須ではありませんが、担当者の顔が見えることは依頼前の安心材料になります。特に複数名体制の事務所では、誰がどの分野を担当しているかが分かると、問い合わせ時のミスマッチを減らせます。
Q. 取扱分野が多いのですが、全部載せた方が良いですか?
取扱分野を並べるだけでは、読み手が「結局何が得意な事務所か」を判断できません。全分野を一覧で示しつつ、特に力を入れている2〜3分野は個別ページで詳しく解説する、という濃淡をつけた構成の方が、専門性が伝わりやすくなります。
まとめ:紹介の裏付けとして、事実ベースの情報を整えることから
この記事で持ち帰れること:
- 紹介経由の依頼が中心でも、契約前の「検索での裏付け確認」に対応する役割がホームページにあること
- 士業事務所のホームページに最低限必要なのは、事務所紹介・取扱分野・スタッフ紹介・アクセス・問い合わせ導線の5ページであること
- 各士業会の広告規制を守りながら、事実に基づく情報を誠実に伝えることが信頼につながること
士業事務所のホームページは、派手な演出よりも、取扱分野・経歴・問い合わせ導線という「依頼の決め手になる事実情報」が整理されていることの方が重要です。おもてらいとは、テンプレートに沿って情報を入力するだけで、これらの必要なページを整えられるホームページ作成SaaSです。「まずは事務所紹介と取扱分野だけでも整えたい」という方は、無料で登録して実際の画面を試してみてください。料金プランの詳細は料金一覧からご確認いただけます。同じく信頼を伝える情報整理に悩みやすい業種として、美容室・サロンにホームページは必要?では予約導線を軸にした整理の考え方を、習い事教室にホームページは必要?ではポータルサイトとの役割分担の考え方を紹介しています。
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